Japanische Klassiker mit Furigana
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としのせのおと
年の瀬の音
山本 周五郎
Lesen Sie 年の瀬の音 (としのせのおと) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.241 Zeichen · 5 Bildschirme
、ねえとスカートを引張る。すると若い母親は邪険にスカートを振り放して、うるさいね、と邪険にいうのであった。
「うるさいね、黙っといでよ」おばちゃんがその母子とどういう関係の人であるかむろんわからない。若い母親は赤児を背負い、幼ない子をつれて「おばちゃん」を訪ねていったのである。おばちゃんはうちにいたし、彼女たちはおばちゃんに会った。女の子にはそれは「よかった」のである。しかしその若い母親にはよくはなかったらしい――十二月。私はここで自分の想像を組み立てようとは思わない。この母子の短かい対話そのものが、疑問の余地のないほどあからさまに事情を語っているのであって、しかも十二月であるということは、こちらにとって心臓へあいくちを突込まれるかに似た思いを致させられるのである。
小雨の降る日、やはりひるめしに出たときのことであるが、野毛という町の裏を四十がらみの男性が、ねんねこばんてんで赤児をおぶって、カサもささずに歩いていた。私はカサをさしており、ひるめしを食べるに足りる程度の懐中もあった。その男性はぶしょうひげが伸び、頭髪も百日かずらのように伸び、そして白茶けたようなむくんだ顔で、どこを見るともなくぼんやりと前方を見まもりながら、なにも目的のないことを証明するような足どりで、雨の中をゆっくり歩いてゆくのである。