Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

まぼろしのかなた

幻の彼方

豊島 与志雄

Lesen Sie 幻の彼方 (まぼろしのかなた) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 41.763 Zeichen · 84 Bildschirme

Aozora Bunko

「苦しい?」

彼女は何とも答えないで、彼の顔をじっと見返した。かすかに微笑を浮べようとしてるらしいのが、筋肉が引きつって泣顔になっていた。

産婆がしきりに秋子を慰めてくれた。しまいにその言葉が途切れると、順造は俄に不安な恐怖に襲われた。室の隅に押しやられてる子供の方へ行った。その寝顔を見て、また秋子の方へ戻ってきた。

女中が帰ってくると、牛乳は産婆が調合して、それから子供に飲ましてくれた。秋子の盲乳によりも一層安々と、護謨の乳首に吸いついて、咽せるほど吸っている子供の様子を、順造は涙ぐましい心地で眺めた。秋子も首を伸して、その方を眺めていた。

産婆は十一時が打つと帰っていった。それを送って門口まで出た時、順造は急に夜気の冷たさを感じた。空を仰いで冴えた星の光を見ると、秋も更けたという気がした。彼は室に戻って、思い出したように火鉢に炭をどっさりつぎ、水を入れた洗面器をかけて湯気を立てた。

秋子と順一との間に床を取らせようとすると、秋子は自分を真中にしてくれと云った。彼は女中と二人で秋子の床を室の真中に引張った。その後に自分の布団を敷かした。いつでも起き上れるように、着物のまま布団にはいった。