Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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まぼろしのたて

幻影の盾

夏目 漱石

Lesen Sie 幻影の盾 (まぼろしのたて) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.372 Zeichen · 45 Bildschirme

Aozora Bunko

尊き銘は剣にこそ彫れ、抜き放ちたる光の裏に遠吠ゆる狼を屠らしめたまえとありとあらゆるセイントに夜鴉の城主が祈念を凝したるも事実である。両家の間の戦は到底免かれない。いつというだけが問題である。

末の世の尽きて、その末の世の残るまでと誓いたる、クララの一門に弓をひくはウィリアムの好まぬところである。手創負いて斃れんとする父とたよりなき吾とを、敵の中より救いたるルーファスの一家に事ありと云う日に、膝を組んで動かぬのはウィリアムの猶好まぬところである。封建の代のならい、主と呼び従と名乗る身の危きに赴かで、人に卑怯と嘲けらるるは彼の尤も好まぬところである。甲も着よう、鎧も繕おう、槍も磨こう、すわという時は真先に行こう……然しクララはどうなるだろう。負ければ打死をする。クララには逢えぬ。勝てばクララが死ぬかも知れぬ。ウィリアムは覚えず空に向って十字を切る。今の内姿を窶して、クララと落ち延びて北の方へでも行こうか。落ちた後で朋輩が何というだろう。ルーファスが人でなしと云うだろう。内懐からクララのくれた一束ねの髪の毛を出して見る。長い薄色の毛が、麻を砧で打って柔かにした様にゆるくうねってウィリアムの手から下がる。