Japanische Klassiker mit Furigana
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まぼろしのたて
幻影の盾
Lesen Sie 幻影の盾 (まぼろしのたて) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.372 Zeichen · 45 Bildschirme
花が散ってあとに残る、むく毛を束ねた様に透明な球をとってふっと吹く。残った種の数でうらないをする。思う事が成るかならぬかと云いながらクララが一吹きふくと種の数が一つ足りないので思う事が成らぬと云う辻うらであった。するとクララは急に元気がなくなって俯向いてしまった。何を思って吹いたのかと尋ねたら何でもいいと何時になく邪慳な返事をした。その日は碌々口もきかないで塞ぎ込んでいた。……春の野にありとあらゆる蒲公英をむしって息の続づかぬまで吹き飛ばしても思う様な辻占は出ぬ筈だとウィリアムは怒る如くに云う。然しまだ盾と云う頼みがあるからと打消すように添える。……これは互に成人してからの事である。夏を彩どる薔薇の茂みに二人座をしめて瑠璃に似た青空の、鼠色に変るまで語り暮した事があった。騎士の恋には四期があると云う事をクララに教えたのはその時だとウィリアムは当時の光景を一度に目の前に浮べる。「第一を躊躇の時期と名づける、これは女の方でこの恋を斥けようか、受けようかと思い煩う間の名である」といいながらクララの方を見た時に、クララは俯向いて、頬のあたりに微かなる笑を漏した。