Japanische Klassiker mit Furigana
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まぼろしのたて
幻影の盾
Lesen Sie 幻影の盾 (まぼろしのたて) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.372 Zeichen · 45 Bildschirme
「この時期の間には男の方では一言も恋をほのめかすことを許されぬ。只眼にあまる情けと、息に漏るる嘆きとにより、昼は女の傍えを、夜は女の住居の辺りを去らぬ誠によりて、我意中を悟れかしと物言わぬうちに示す」クララはこの時池の向うに据えてある大理石の像を余念なく見ていた。「第二を祈念の時期と云う。男、女の前に伏して懇ろに我が恋叶えたまえと願う」クララは顔を背けて紅の薔薇の花を唇につけて吹く。一弁は飛んで波なき池の汀に浮ぶ。一弁は梅鉢の形ちに組んで池を囲える石の欄干に中りて敷石の上に落ちた。「次に来るは応諾の時期である。誠ありと見抜く男の心を猶も確めん為め女、男に草々の課役をかける。剣の力、槍の力で遂ぐべき程の事柄であるは言うまでもない」クララは吾を透す大いなる眼を翻して第四はと問う。「第四の時期を Druerie と呼ぶ。武夫が君の前に額付いて渝らじと誓う如く男、女の膝下に跪ずき手を合せて女の手の間に置く。女かたの如く愛の式を返して男に接吻する」クララ遠き代の人に語る如き声にて君が恋は何れの期ぞと問う。思う人の接吻さえ得なばとクララの方に顔を寄せる。クララ頬に紅して手に持てる薔薇の花を吾が耳のあたりに抛つ。