Japanische Klassiker mit Furigana
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げんだん
幻談・観画談 他三篇
幸田 露伴
Lesen Sie 幻談・観画談 他三篇 (げんだん) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.544 Zeichen · 161 Bildschirme
蘆声
今を距ること三十余年も前の事であった。
今において回顧すれば、その頃の自分は十二分の幸福というほどではなくとも、少くも安康の生活に浸って、朝夕を心にかかる雲もなくすがすがしく送っていたのであった。
心身共に生気に充ちていたのであったから、毎日※(二の字点、1-2-22)※(二の字点、1-2-22)の朝を、まだ薄靄が村の田の面や畔の樹の梢を籠めているほどの夙さに起出て、そして九時か九時半かという頃までには、もう一家の生活を支えるための仕事は終えてしまって、それから後はおちついた寛やかな気分で、読書や研究に従事し、あるいは訪客に接して談論したり、午後の倦んだ時分には、そこらを散策したりしたものであった。
川添いの地にいたので、何時となく釣魚の趣味を合点した。何時でも覚えたてというものは、それに心の惹かれることの強いものである。丁度その頃一竿を手にして長流に対する味を覚えてから一年かそこらであったので、毎日のように中川べりへ出かけた。中川沿岸も今でこそ各種の工場の煙突や建物なども見え、人の往来も繁く人家も多くなっているが、その時分は隅田川沿いの寺島や隅田の村※(二の字点、1-2-22)でさえさほどに賑やかではなくて、長閑な別荘地的の光景を存していたのだから、まして中川沿い、しかも平井橋から上の、奥戸、立石なんど