Japanische Klassiker mit Furigana
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げんだん
幻談・観画談 他三篇
幸田 露伴
Lesen Sie 幻談・観画談 他三篇 (げんだん) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 80.544 Zeichen · 161 Bildschirme
晩成先生は急に挨拶の言葉も出ずに、何か知らず叮嚀に叩頭をさせられてしまった。そして頭を挙げた時には、蔵海は頻りに手を動かして麓の方の闇を指したり何かしていた。老僧は点頭いていたが、一語をも発しない。
蔵海はいろいろに指を動かした。真言宗の坊主の印を結ぶのを極めて疾くするようなので、晩成先生は呆気に取られて眼ばかりパチクリさせていた。老僧は極めて徐かに軽く点頭いた。すると蔵海は晩成先生に対って、
このかたは耳が全く聞えません。しかし慈悲の深い方ですから御安心なさい。ではわたくしは帰りますから。
トいって置いて、初の無遠慮な態度とはスッカリ違って叮嚀に老僧に一礼した。老僧は軽く点頭いた。大噐氏にちょっと会釈するや否や、若僧は落付いた、しかしテキパキした態度で、かの提灯を持って土間へ下り、蓑笠するや否や忽ち戸外へ出て、物静かに戸を引寄せ、そして飛ぶが如くに行ってしまった。
大噐氏は実に稀有な思がした。この老僧は起きていたのか眠っていたのか、夜中真黒な中に坐禅ということをしていたのか、坐りながら眠っていたのか、眠りながら坐っていたのか、今夜だけ偶然にこういう態であったのか、始終こうなのか、と怪み惑うた。