Japanische Klassiker mit Furigana
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ひろばのベンチ
広場のベンチ
豊島 与志雄
Lesen Sie 広場のベンチ (ひろばのベンチ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.998 Zeichen · 15 Bildschirme
会社は社員そっくり抱えたまま身売りをする、との説もあった。一挙に解散してしまう、との説もあった。半官半民の会社に編成替えされる、との説もあった。其他いろいろで、互に矛盾することばかりだった。
十内は会社に大して関心を持っていなかったが、事のついでに、それとなく聞き探ってみたところ、要領を得ない返事ばかりで、誰にも真相はわかっていないらしかった。そのうちに唯一人、如何にも自信ありげに、また秘密らしく、十内の耳に囁いてくれる者があった。それによると、岩田は当局筋に取り入って、警察予備隊の枢要な地位を獲得しており、未発表だが、それはもう確定した事実だとのことだった。これからは俺たちの天下だ、と彼はつけ加えた。彼もたぶん、岩田と同じ方面に進むに違いなかった。
十内は唖然としたが、考えてみれば、不思議なことではなかった。なにか、自分一人が迂闊だったようである。
全く気が付かなかったのだ。日本再軍備を唱道する声さえ起っていたのである。警察予備隊とは軍隊の異名にすぎないらしくもあった。
迂闊だっただけに、思いがけない壁にぶつかった気持ちだった。岩田や其他数名は、もうはっきりと将来を決定してるに違いなかった。