Japanische Klassiker mit Furigana
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ひろばのベンチ
広場のベンチ
豊島 与志雄
Lesen Sie 広場のベンチ (ひろばのベンチ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.998 Zeichen · 15 Bildschirme
石の鳥居がある。そこから一段低くなってる広地は、縁日などにいろんな催し物が行われる場所だが、ふだんは、木影深くひっそりとしている。その外れに、また石の鳥居があって、そこから急な石段となる。二十段ばかり降りると、ちょっと平地となり、下にまた二十段ばかり続く。
上部の石段を降りて、平地で息をつき、それから下部の石段を降りかかった時、十内は息をのんだ。下方の空間に、ぽっかりと、あの少女の顔が浮き出していたのである。
もっとも、それが最初ではなかったようだ。夢ともうつつともなく、前にも一度見たことがある。夜明け頃、まだ眠ったまま、なにか考えごとをしている気持ちだったが、心の眼には、仄白い丸いものが映っていた。それが静止してるとも廻転してるともつかず、ただ明暗の差だけがちらちらしているうちに、額から、眼、鼻、口と、次第に形をととのえて、少女の顔となった。はっと、眼をさますと、室内にまで漂い込んでる薄明るみに、蚊帳が白々と垂れていた。
石段の下方の空間に現われたのは、もっとはっきりした顔だった。
長い髪の毛は垂らしているらしく、前髪だけをお河童風に短く切り揃えて、白い額の上部に影を置いている。