Japanische Klassiker mit Furigana
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しょみんせいかつ
庶民生活
豊島 与志雄
Lesen Sie 庶民生活 (しょみんせいかつ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.353 Zeichen · 21 Bildschirme
中村の一件は、全く気にかけていないようだった。
ところが、意外なことがほかで起った。
中村の女房が猫いらずを飲んで死んだ。おどかすつもりなのが間違ったのだ、とも伝えられたし、取り逆せて初めから本気だったのだ、とも伝えられた。中村が峠の茶屋で内山たちに逢った時から十日ばかり後のことで、その夜、夫婦とも泥酔の上で取っ組み合いの喧嘩をやった。女房は階段から転げ落ちたが、怪我もなかったと見えて、また二階へ昇って行った。夜中に彼女は台所へ降りて来て、食べ残りの冷たい味噌汁に猫いらずをぶちこみ、一気に飲み干したものらしかった。
峠の茶屋のおばさんの話に依れば、彼女は死ぬ前に二度ほどやって来て、内山と朋子とのことをへんにしつっこく聞きただした。その様子がどうもおかしいし、中村の先夜のこともあるので、おばさんはいい加減な返事をしておいた。それでも、彼女は感心したり、腑に落ちない風で小首を傾げたりしていたが、終りに尋ねた。
「あたしここで、あのお二人に逢ってみたいと思いますが、どうでしょうか。」
「前に出逢ったことがあるじゃありませんか。今でもよく来ますから、いつでも逢えますよ。