Japanische Klassiker mit Furigana
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にじ
彩虹
山本 周五郎
Lesen Sie 彩虹 (にじ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.898 Zeichen · 28 Bildschirme
伊兵衛はそう云いながら、その宴会のありさまがそのまま鳥羽藩の近い将来を暗示するものかも知れないということを考えた。……脇田宗之助は、つい数日まえ江戸から来た。彼の父は宗左衛門といって、六年まえに死ぬまで鳥羽藩稲垣家の国家老であった。宗之助はその一人息子で、幼い頃からずばぬけた俊敏の才をもっていた。十六歳のとき藩主対馬守照央に従って江戸へゆき、専ら法制の勉学をやっていたが、こんど、二十五歳で国家老に就任するために帰国したのである。今宵はその帰国を迎えるために、旧友たち十人の者が集って祝宴を催した。みんな二十五六の青年たちだし身分も老職格の者ばかりで、そのうち五人は顧問官というべき年寄役か、やがて其役を襲うべき位置にある者だった。……樫村伊兵衛は筆頭年寄で、宗之助とは最も親しい旧友であり、この祝宴の主人役であったが、宗之助のために酒をしいられ、やや悪酔をしたかたちで少し息を入れに立って来たのだった。
「なにか匂っている」
伊兵衛はふと中庭のほうへ振返った。
「……なんの花だろう」
「梅でございましょう」
さえはそう云いながら立って来た。
「……ああ、丁字でございますね」