Japanische Klassiker mit Furigana
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いようへん
影を踏まれた女
岡本 綺堂
Lesen Sie 影を踏まれた女 (いようへん) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.110 Zeichen · 46 Bildschirme
「ねえ、お前。お兼ちゃんはもうみんなと遊ばないよって言ったんだね。」
「そうよ。」
「それがおかしいね。」と、かれはお父さんの方へ向き直った。「してみると、人攫いや神隠しじゃあなさそうだと思われるが……。お兼ちゃんは自分の一料簡でどこへか姿を隠したんじゃないかねえ。」
「むむ。どうもわからねえな。」と、お父さんも首をかしげた。
お兼はひとり娘で、親たちにも可愛がられている。まだ十一の小娘では色恋でもあるまい。それらを考えると、どうも自分の一料簡で家出や駈落ちをしそうにも思われない。結局その謎は解けないままで、経師屋の家では寝てしまった。おなおさんはやはり怖いような悲しいような心持で、その晩は安々と眠られなかった。
あくる日になって、お兼のゆくえは判った。近所の竹藪などを掻きまわしていても所詮知れようはずはない。お兼はずっと遠い深川の果て、洲崎堤の枯蘆のなかにその亡骸を横たえているのを発見した者があった。お兼は腰巻ひとつの赤裸でくびり殺されていたのである。お兼は素足になっていたが、そこには同じ年頃らしい女の子の古下駄が片足ころげていた。更におどろかれるのは、年弱の二つぐらいと思われる女の児が、お兼の死骸のそばに泣いていた。