Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かげおとこ

影男

江戸川 乱歩

Lesen Sie 影男 (かげおとこ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 154.133 Zeichen · 310 Bildschirme

Aozora Bunko

血笑記

女体の熱気と、脂粉と、芳香と、甘い触感の底へ、深く深く吸いこまれていった。

そのとき、全山をゆるがして、おそろしいどよめきが起こった。幾千幾万の女体が、声をそろえて、なまめかしく笑いだしたのだ。赤いくちびるの嬌笑が大合唱となって、峰から峰へとこだまし、全世界が途方もない笑いのうず巻きに包まれていった。

血笑記

影男は、ふたたび失神したのであろう。それからいくときが経過したのか、ふと目ざめると、そこにまた別の次元があった。別の夢の国があった。

そこは逢魔が時の薄やみの国であった。女体山脈のつづきかと思われたが、必ずしもそうではなかった。かれはそのとき、柔らかくて暖かいスロープに、足を投げ出してよりかかっていた。それはアームチェアでもソファーでもなく、なにかえたいの知れぬ巨大なクッションであった。

かれは立ち上がって、自分がもたれていたものを観察した。白い巨大な曲線が、うねっていた。急には、それがどういう形だか見当もつかなかった。それは一つの大きなへやのように感じられたが、天井も、壁も、床もなく、それらのことごとくが、不思議な曲線と曲面におおわれていた。