Japanische Klassiker mit Furigana
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やくしゃのいっしょう
役者の一生
折口 信夫
Lesen Sie 役者の一生 (やくしゃのいっしょう) von 折口 信夫 (おりくちしのぶ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.324 Zeichen · 31 Bildschirme
踊りの場合は、断篇としては実によい女を表現する。併し、何と言っても真女形にはなれぬ。先代と比較して今の菊五郎という役者は、役柄の範囲が広い様に見えて、実は狭い役者である。
所作事は源之助の得意とするところではないので、先代菊五郎が、「茨木」「戻橋」「土蜘蛛」など沢山の所作事をしているのはうつさなかった。けれども役者である以上、全然踊らぬのではない。踊りを出し物にする役者が、外にあったと言う訣なのだ。又その他にも村井長庵だの、加賀鳶の按摩道玄などの、色めいたところの少しもない悪党役は源之助の演じないところであった。つまり気のよい役はしたが、気の悪い役はしなかったので、尤、それには一部分は源之助自身がしようとしても興行師の方がさせなかったというところはあろうけれど、役者として色気があり過ぎたと言えるかも知れない。菊五郎の芸は市川小団次の芸を移しているので、つまり写実的な生世話な狂言が多いのだが、それを源之助が継承したのである。そして源之助は、自分の柄に合わないものまで随分している。切られの与三郎や清心のようなものを継承するのは、少しも怪しむに足らぬ至極当然なことだが、場合によっては唯菊五郎がしたからするというだけでするような、源之助自身の柄を考えないところの役もずいぶんある。