Japanische Klassiker mit Furigana
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かれはだれをころしたか
彼は誰を殺したか
浜尾 四郎
Lesen Sie 彼は誰を殺したか (かれはだれをころしたか) von 浜尾 四郎 (はまおしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.147 Zeichen · 27 Bildschirme
あの時私はある物を伯爵様にお目にかけようかどうかとまよっていたのでございます。けれどとうとう決心してしまいました。何事も申し上げませぬ。ただ同封の文をおよみ下さいまし。そうして永遠に御身近くにおもち下さいまし。
伯爵様、あなたの御力は偉大でございました。けれど、われわれの頭がどんなによくても神様のなさることを考える事は出来ません。神様のいたずらは、人間には判らないものでございます。
綾 子
「神のいたずら?……自然の皮肉?」
つぶやきながら伯爵はまき込められた一片の紙に目を通した。
そのはじめに女文字で「之は夫直一の日記の断片でございます。夫の死後、私が発見して今まで誰にも見せずにおいたものでございます。綾子」と記されている。
×月×日
妻はどうしても疑っている。否疑っているのではない。俺が吉田豊を殺したと確信しているのだ。俺の手が血みどろに見えるのか、俺の顔がそんなに恐ろしいのか。俺がこのごろ夜中眠れないで役所も休んでしまったのを、良心の責苦だと思っているらしい。馬鹿! 俺がいつあいつを殺したんだ。俺は人殺しじゃない。あいつはほんとに過って死んだんだ。