Japanische Klassiker mit Furigana
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おほりばたさんだい
御堀端三題
岡本 綺堂
Lesen Sie 御堀端三題 (おほりばたさんだい) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.863 Zeichen · 12 Bildschirme
小さい氷屋の車屋台が出ている。今日ではまったく見られない堀ばたの一風景であった。
それにつづく日比谷公園は長州屋敷の跡で、俗に長州原と呼ばれ、一面の広い草原となって取残されていた。三宅坂の方面から参謀本部の下に沿って流れ落ちる大溝は、裁判所の横手から長州原の外部に続いていて、昔は河獺が出るとかいわれたそうであるが、その古い溝の石垣のあいだから鰻が釣れるので、うなぎ屋の印半纏を着た男が小さい岡持をたずさえて穴釣りをしているのをしばしば見受けた。その穴釣りの鰻屋も、この柳のかげに寄って来て甘酒などを飲んでいることもあった。岡持にはかなり大きい鰻が四、五本ぐらい蜿くっているのを、私は見た。
そのほかには一種の軽子、いわゆる立ちン坊も四、五人ぐらいは常に集まっていた。下町から麹町四谷方面の山の手へ上るには、ここらから道路が爪先あがりになる。殊に眼の前には三宅坂がある。この坂も今よりは嶮しかった。そこで、下町から重い荷車を挽いて来た者は、ここから後押しを頼むことになる。立ちン坊はその後押しを目あてに稼ぎに出ているのであるが、距離の遠近によって二銭三銭、あるいは四銭五銭、それを一日に数回も往復するので、その当時の彼らとしては優に生活が出来たらしい。