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Japanische Klassiker mit Furigana

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ふくいんさつじんじけん

復員殺人事件

坂口 安吾

Lesen Sie 復員殺人事件 (ふくいんさつじんじけん) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 96.621 Zeichen · 195 Bildschirme

Aozora Bunko

一同を見返して、

「今夜の御馳走はフグでしたか」

「ヘエ、そうです。どうも困ったことになりやがったね。こしらえたのは、この私でさア」

と、蛸重が言った。

「しかし、ねえ。フシギだよ。ほかの御方はピンピンしているし、私の料理に毒のある筈はないのだがね。それにさ。一番猛毒のマコはどなたにも差上げませんやね。私が一人で平らげているよ。私の家族にも、これだけは食べさせませんや」

美津子がそれに同意して言葉をはさんだ。

「ほんとよ。定夫兄さんの召し上ったのは、オサシミだけです。チリ鍋には見向きもなさらなかったのです。それは、いつものことです」

「時々フグを召上るのですか」

「それは、この家の習慣だ。日曜、祭日には、たいがいフグを食っとる。ワシは二十年以前から、そうしないと腹の虫がおさまらない習慣だよ」

由之が苦りきって、言った。

「今まで、一度だって、誰も中毒など起しやせん。見たまえ。今夜だって、定夫のほかは、異状がないじゃないか」

「そこが奇妙なところですな」

大矢主任はさすがにムッツリしている。いよいよ出でて、いよいよ奇怪というところかも知れない。

「今夜の夕食を召し上ったのは、どなたですか」