Japanische Klassiker mit Furigana
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びしょう
微笑
横光 利一
Lesen Sie 微笑 (びしょう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.911 Zeichen · 50 Bildschirme
僕はいま陸軍から引っ張りに来ているんですが、海軍が許さないのです。」
水交社が見えて来た。この海軍将校の集会所へ這入るのは、梶には初めてであった。どこの煙筒からも煙の出ないころだったが、ここの高い煙筒だけ一本濛濛と煙を噴き上げていた。携帯品預所の台の上へ短剣を脱して出した栖方は、剣の柄のところに菊の紋の彫られていることを梶に云って、
「これ僕んじゃないのですが、恩賜の軍刀ですよ。他人のを借りて来たんです。もうじき、僕も貰うもんですから。」
子供らしくそう云いながら、室の入口へ案内した。そこには佐官以上の室の標札が懸っていた。油の磨きで黒黒とした光沢のある革張りのソファや椅子の中で、大尉の栖方は若若しいというより、少年に見える不似合な童顔をにこにこさせ、梶に慰めを与えようとして骨折っているらしかった。食事のときも、集っている将校たちのどの顔も沈鬱な表情だったが、栖方だけ一人活き活きとし笑顔で、肱を高くビールの壜を梶のコップに傾けた。フライやサラダの皿が出たとき、
「そんな君の尉官の襟章で、ここにいてもいいのですか。」と梶は訊ねてみた。
「みなここの人は僕のことを知ってますよ。