Japanische Klassiker mit Furigana
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しんじゅう
心中
Lesen Sie 心中 (しんじゅう) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.515 Zeichen · 17 Bildschirme
と叫ぶように云った女中がある。
そう云う声と共に、むっくり島田髷を擡げたのは、新参のお花と云う、色の白い、髪のれた、おかめのような顔の、十六七の娘である。
「来るなら、早くおし。」お松は寝巻の前を掻き合せながら一足進んで、お花の方へ向いた。
「わたしこわいから我慢しようかと思っていたんだけれど、お松さんと一しょなら、矢っ張行った方が好いわ。」こう云いながら、お花は半身起き上がって、ぐずぐずしている。
「早くおしよ。何をしているの。」
「わたし脱いで寝た足袋を穿いているの。」
「じれったいねえ。」お松は足踏をした。
「もう穿けてよ。勘辨して頂戴、ね。」お花はしどけない風をして、お松に附いて梯子を降りて行った。
便所は女中達の寝る二階からは、生憎遠い処にある。梯子を降りてから、長い、狭い廊下を通って行く。その行き留まりにあるのである。廊下の横手には、お客を通す八畳の間が両側に二つずつ並んでいてそのはずれの処と便所との間が、右の方は女竹が二三十本立っている下に、小さい石燈籠の据えてある小庭になっていて、左の方に茶室賽いの四畳半があるのである。
いつも夜なかに小用に行く女中は、竹のさらさらと摩れ合う音をこわがったり、花崗石の石燈籠を、白い着物を着た人がしゃがんでいるように見えると云ってこわがったりする。