Japanische Klassiker mit Furigana
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「しんりしけん」じょ
心理試験
小酒井 不木
Lesen Sie 心理試験 (「しんりしけん」じょ) von 小酒井 不木 (こざかいふぼく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 96.338 Zeichen · 197 Bildschirme
実際グレージーの家へ来る客は、宝石を買う人よりも売る人の方が大部を占めていた。しかもその客は、顔に変な笑いを浮べ、変なものの言い方をして、変な手附きで金を貰って行くのであった。そうして、その買値は、時価よりもうんと安かったけれども、売り手は別に不足をいわず、唯々諾々として、彼のつける値段に満足した。
言葉を換えて言うならば、それらの客は、緑の林白の浪、手っとり早く言うならば即ち宝石泥棒であった。従って、グレージーは申すまでもなく、けいずかいであったのである。全くその当時、彼は世界第一のけいずかいだと評判されていた。けいずかいの評判が立って、そのように堂々商売して行くのは、一寸おかしく思われるが、警察では証拠を握ることが出来なかったので、どうにも致し方がなかったのである。
彼はいつも黒い鞄の中に二万円以上の宝石を入れて携えていた。彼は宝石鑑定家としては第一流の人間であって、他の宝石商からも鑑定に招かれたが、彼の鑑定した宝石が、時を経て彼の手中にころげこむことは、決して稀でなかった。警察の見積りによると、彼の一生涯に取り扱った宝石は一千万円以上の高に上ったということである。