Japanische Klassiker mit Furigana
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ただなおきょうぎょうじょうき
忠直卿行状記
菊池 寛
Lesen Sie 忠直卿行状記 (ただなおきょうぎょうじょうき) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.602 Zeichen · 47 Bildschirme
にはいかなかった。果して五月六日の手合せには、ついに出陣の時刻を遅らせたために、思わぬ不覚を取って、今まで懐いておった強い自信を危く揺がせようとしたのであったが、同じ七日の城攻めの功名によって傷ついた自信は、名残りなく償われたばかりでなく、一番乗りの功を収めて、越前勢の武名惣軍を圧するに至ったのであるから、自分が家臣の誰人よりも秀れているという忠直卿の自信が、今ではもっと拡大して、自分は城攻めに備わった六十諸侯の何人よりも秀れているという自信に移りかけていた。大坂陣を通じて三千七百五十級の首級を挙げ、しかも城将左衛門尉幸村の首級を挙げたものは、忠直卿の軍勢に相違なかったのだ。
忠直卿は初花の茶入と、日本樊※(「口+會」、第3水準1-15-25)という美称とを、自分が何人よりも秀れたる人間であるという証券として心のうちに銘じた。
晴々とした心持であった。そこに並んでいる大名小名百二十名は、ことごとく忠直卿に賛美の瞳を向けているように思われた。
彼は今まで自分の臣下の何人よりも、自分が優秀な人間であることを誇りとしていた。が、比べている相手はことごとく自分の臣下であることが物足らなかった。