Japanische Klassiker mit Furigana
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ただなおきょうぎょうじょうき
忠直卿行状記
菊池 寛
Lesen Sie 忠直卿行状記 (ただなおきょうぎょうじょうき) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 23.602 Zeichen · 47 Bildschirme
そして、妻を奪われながら、腹を得切らぬその男を、臆病者として非難するものさえあった。
が、四、五日してから、その男は飄然として登城した、そして、忠直卿にお目通りを願いたいと目付まで申し出でた。が、目付は、浅水与四郎をいろいろに宥め賺そうとした。
「なんと申しても、相手は主君じゃ。お身が今、お目通りに出たら必定お手打ちじゃ。殿の御非道は、我人共によく分かっている、がなんと申しても相手は主君じゃ」
が、与四郎は断然としていい放った。
「たといいかがなろうとも、お目通りを願うのじゃ。たとえ身は八劈きにされようとも、念ないことじゃ。是非お取次ぎ下されい」と、必死の色を示した。
目付は、仕方なく白書院に詰めている家老の一人へ、その嘆願を伝えた。それを聞いた老年の家老は、「与四郎めは、血迷うたと見えるな。主君の御無理は分かっていることじゃが、この場合腹をかっ切って死諫を進めるのが、臣下としての本分じゃ。他の二人はよう心得ているに、与四郎めは女房を取られたので血迷うたと見える。かほどの不覚人とは思わなかったに」と囁いた。
家老は、なおブツブツと口小言をいいながら、小姓を呼んで、そのことを渋々ながら忠直卿の耳に伝えしめた。