Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いかりのむし

怒りの虫

豊島 与志雄

Lesen Sie 怒りの虫 (いかりのむし) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.457 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

ところが近頃、おかしな症状が起ってきた。物を食べると、胃袋の中のどこかに閊えるのである。汁物までが閊えるのである。そして暫くすると、その閊えたものが、胃袋の底へ、ごっとん、ごっとん、さがってゆく。そして初めて胸が開ける思いをする。柔かい物ばかりでなく、汁物までがそうだから、おかしい。どこに閊えるのか分らないが、確かに閊えて、そしてやがて、ごっとん、ごっとん、下ってゆくのである。医者にみせても原因は分らないし、この節ではもう諦めて、ごっとん、ごっとんを、却って楽しみに待つのだった。

その話を、按摩はただ座興にしたらしいが、自分で胃弱を悩んでる八重子には、へんに気味悪く響いた。

「いやですわ、胃の中でごっとんごっとん音がするなんて。胃袋が瓢箪みたいにくびれたんでしょうか。」

八重子は眉間に皺を寄せていた。

木山は頭を拭きながら言った。

「ばかな。神経のせいだろう。」

「神経のせいにしても、そうなったら、どうなんでしょうね。わたくし、ぞっとしますわ。」

「だから、医者にみせなさいと、いつも言ってるじゃないか。」

「あなたがおみせなさるなら、わたくしもそうしますわ。