Japanische Klassiker mit Furigana
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おもいだすかずかず
思い出すかずかず
宮本 百合子
Lesen Sie 思い出すかずかず (おもいだすかずかず) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.924 Zeichen · 10 Bildschirme
――私は、通りすがりに一寸見、それが誰だか一目で見分ける。平賀だ。大観音の先のブリキ屋の人である。
玄関の傍には、標本室の窓を掠めて、屋根をさしかけるように大きな桜か、松かの樹が生えている。――去年や一昨年学校を卒業なさった方に、これがどこの光景だか分るでしょうか。私が毎日毎日通った時分、誠之は斯様に黒い木の門と、足の下でザクザクいう玄関前を持ち、大きなコの字形に運動場を囲んだ木の低い建物で出来ていたのです。
校舎が改築されたのは、何時であったか。私は、未だ一度も内部の模様を見知らない。又、見たい心持も起らない。一つの学校として、長年風雨に打ち叩かれた建物よりは、新らしい、高い、ハイカラーな校舎を持つ方が勿論結構である。お目出度い。けれども、私、或はそれより以前に幾年かの間彼処に馴染んだ人々は、誠之という名とともに、どんな庭や廊下を思い出すだろうか。私は、もう一遍、心で、六年の生徒になって見る。そして、秋の末頃の朝、弟と二人で、武蔵屋の横丁から斜に東片町の大通りを横切って、突当りに学校が見える横通りに出て見よう。
何といっても、朝は門が開かないうちに行くのが嬉しかった。