Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おもいでのき

思い出の記

小泉 節子

Lesen Sie 思い出の記 (おもいでのき) von 小泉 節子 (こいずみせつこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.841 Zeichen · 62 Bildschirme

Aozora Bunko

食物には好悪はございませんでした。日本食では漬物でも、刺身でも何でも頂きました。お菜から喰べました、最後に御飯を一杯だけ頂きました。洋食ではプラムプディンと大きなビフテキが好きでございました。外には好きなものと云えば先ず煙草でした。

食事の時には色々話を致しました。パパは西洋の新聞などの話を致しますし、私は日本の新聞の話を致します。新聞は永い間『読売』と『朝日』を見てました。小さい『清』が障子からのぞきます。猫が参ります。犬が窓下に参ります。自分の食物をそれぞれに分けてやります。なかなか愉快に喰べました。それが済むといつも皆で唱歌などを歌いました。

よく独りで、何か頻りに喜んだり悲しんだりしていました。喜んで少し踊るようにして廊下を散歩して居る事もありますし、又独りで笑って居る事もあります。私が聞きつけて『パパさん何面白い事ありますか』と尋ねますと、こらえていたのが、破れたように大きい声になって大笑など致します。涙をこぼしてママさんママさんと云って笑うのです。これは新聞にあったおかしかった事や、私の話した事などを思い出してであります。

あのように考え込んだり、怪談好きである事から、常談など申さぬだろうと思われるようですけれども、折々上品な滑稽を申しました。