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Japanische Klassiker mit Furigana

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おもいでのき

思い出の記

小泉 節子

Lesen Sie 思い出の記 (おもいでのき) von 小泉 節子 (こいずみせつこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.841 Zeichen · 62 Bildschirme

Aozora Bunko

ヘルンがこれを吹きますと、太い好い音が出ました。『私の肺が強いから、このような音』といって喜びました。『面白い音です』と云って、頬をふくらまして、面白がって吹きました。それから煙草の火のなくなった時に、この法螺貝を吹くと云う約束を致しました。火がないと、これとポオー、ウオーと云うように、大きく波をうたせるようにして、長く吹くのです。そう致しますと、台所までも聞えるのです。内を極静かにして、コットリとも音をさせぬようにして居るところです。そこへこの法螺貝の音です。夜などは殊に面白いのでございます。私は煙草の火は絶やさないように、注意をしていましたが、自分で吹きたいものですから、少しでも消えると直ぐ喜んで吹きました。如何に面白いと云うので、書斎の近くに持って参って居りましても、吹いて居るのでございます。この音が致しますと、女中までが『それ、貝がなります』と云って笑いました。

よく出来た物などを見ますとひどくそれに感じまして、賞めるのでございます。上野の絵の展覧会にはよく二人で参りました。書家の名など少しも頓着しないです。絵が気に入りますと、金がいくら高くても、安い安いと申すのです。