Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おもいでのき

思い出の記

小泉 節子

Lesen Sie 思い出の記 (おもいでのき) von 小泉 節子 (こいずみせつこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.841 Zeichen · 62 Bildschirme

Aozora Bunko

自分がフロックコートを着るのはあなたの過ちだと申していました。

ある時、常談に『あなた日本の事を大変よく書きましたから、天子様、あなた賞めるため御呼びです、天子様に参る時、あのシルクハット、フロックコートですよ』と申しますと『それでは真平御免』と申しました。この真平御免と云う言葉は前の西洋嫌いの華族の隠居様の話で覚えたのです。マッピラと云う音が面白いと云うので、しきりに真平と云う事を申しました。

外出の時はいつも背広でございましたが、洋服よりも日本服、別して浴衣が大好きでした。傘もステッキももった事はございません。散歩の途中雨にあっても平気で帰るのですが、余り烈しいとどこででも車を見つけて乗ってかえりました。靴は兵隊靴です。流行には全く無頓着でした。『日本の労働者の足は西洋人のよりも美しい』と申しました。西洋よりも日本、この世よりも夢の世が好きであったろうと思います。休む時には必ず『プレザント、ドリーム』とお互に申します。私の夢の話が大層面白いと云うので喜ばれました。

ワイシャツやカラなどは昔から着けなかったようです。フロックコートを、仕方なく着ける時でもカラは極低い折襟でした。