Japanische Klassiker mit Furigana
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おもいでのき
思い出の記
小泉 節子
Lesen Sie 思い出の記 (おもいでのき) von 小泉 節子 (こいずみせつこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.841 Zeichen · 62 Bildschirme
と申して聞き入れなかった事がございました。
ヘルンはよく人を疑えと申しましたが、自分は正直過ぎる程だまされやすい善人でございました。自分でもその事を存じていたものですからそんなに申したのです。一国者であった事は前にも申しましたが、外国の書肆などと交渉致します時、何分遠方の事ですから色々行きちがいになる事もございますし、その上こんな事につけては万事が凝り性ですから、挿画の事やら表題の事やらで向うでは一々ヘルンに案内なしにきめてしまうような事もありますので、こんな時にヘルンはよく怒りました。向うからの手紙を読んでから怒って烈しい返事を書きます、直ぐに郵便に出せと申します。そんな時の様子が直に分りますから『はい』と申して置いてその手紙を出さないで置きます。二三日致しますと怒りが静まってその手紙は余り烈しかったと悔むようです。『ママさん、あの手紙出しましたか』と聞きますから、態と『はい』と申し居ります。本当に悔んで居るようですから、ヒョイと出してやりますと、大層喜んで『だから、ママさんに限る』などと申して、やや穏かな文句に書き改めて出したりしたようでございます。