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Japanische Klassiker mit Furigana

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おもいでのき

思い出の記

小泉 節子

Lesen Sie 思い出の記 (おもいでのき) von 小泉 節子 (こいずみせつこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.841 Zeichen · 62 Bildschirme

Aozora Bunko

と申しまして、自分の御膳の物を分けて『あの蛙取らぬため、これを御馳走します』などと云ってやりました。『西印度にいます時、勉強して居るとよく蛇が出て、右の手から左の手の方に肩を通って行くのです。それでも知らぬ風をして勉強して居るのです。少しも害を致しませんでした。悪い物ではない』と云っていました。

私が申しますのは、少し変でございますが、ヘルンは極正直者でした。微塵も悪い心のない人でした。女よりも優しい親切なところがありました。ただ幼少の時から世の悪者共に苛められて泣いて参りましたから、一国者で感情の鋭敏な事は驚く程でした。

伯耆の国に旅しました時、東郷の池と云う温泉場で、先ず一週間滞留の予定でそこの宿屋へ参りますと、大勢の人が酒を飲んで騒いで遊んでいました。それを見ると、直ぐ私の袂を引いて『駄目です、地獄です、一秒でさえもいけません』と申しまして、宿の者共が『よくいらっしゃいました、さあこちらへ』と案内するのに『好みません』と云うので直にそこを去りました。宿屋も、車夫も驚いて居るのです。それはガヤガヤと騒がしい俗な宿屋で、私も厭だと思いましたが、ヘルンは地獄だと申すのです。