Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

おもいでぐさ

思い出草

岡本 綺堂

Lesen Sie 思い出草 (おもいでぐさ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.303 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

暮の二十日頃になると、玩具屋駄菓子店等までが殆ど臨時の紙鳶屋に化けるのみか、元園町の角には市商人のような小屋掛の紙鳶屋が出来た。印半纏を着た威勢の好い若衆の二、三人が詰めていて、糸目を付けるやら、鳴弓を張るやら、朝から晩まで休みなしに忙しい。その店には少年軍が隊をなして詰め掛けていた。

紙鳶の種類も色々あったが、普通は字紙鳶、絵紙鳶、奴紙鳶で、一枚、二枚、二枚半、最も多いのは二枚半で、四枚六枚となっては小児には手が付けられなかった。二枚半以上の大紙鳶は、職人かもしくは大家の書生などが揚げることになっていた。松の内は大供小供入り乱れて、到るところに糸を手繰る。またその間に、娘子供は羽根を突く。ぶんぶんという鳴弓の声、戞々という羽子の音。これがいわゆる「春の声」であったが、十年以来の春の巷は寂々寥々。往来で迂濶に紙鳶などを揚げていると、巡査が来てすぐに叱られる。

寒風に吹き晒されて、両手に胼を切らせて、紙鳶に日を暮した二十年前の小児は、随分乱暴であったかも知れないが、襟巻をして、帽子を被って、マントに包まって懐手をして、無意味にうろうろしている今の小児は、春が来ても何だか寂しそうに見えてならない。