Japanische Klassiker mit Furigana
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おんがくどけい
性に眼覚める頃
室生 犀星
Lesen Sie 性に眼覚める頃 (おんがくどけい) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.495 Zeichen · 22 Bildschirme
何んでもないことだが、一ト渡りすると、微笑ってみせるので、美しくけはい立って見えた。というより、この異国の女の鼓動が胸を透して優しい花のように文字どおりに、すこしずつ高まったり低くなったりして、ちかちかした胸衣の飾り玉の青や黄いろを煌らせた。
しまいに、二つの膝がしらを揃え、ぺたんこに坐ってしまって、よくある例の手を口に啣え、地獄から今かえってきたような顔付をして見せたときに、わたしは少し不愉快だった。あそこまで見せなければならないこともないのに、フイに人目に立たないほどの厭気で、唾を吐いた。が、すぐにその顔は毒のない、よく芸人にみるうすばかめいた微笑にかえられたので吻とした。
間もなくわたしはマテニを見ることができた。この露西亜女を見るだけに、しげしげ通っているのだが、さてどこがよいと言って明らかにはいえない。顔色も濁っている。瞳もうつくしくはない。だが暗い夜の肌衣を纒っている柔らかい肉体が、宙を舞うというばかりで好きなのではない。ただ何となく好ましいのである。楽隊の下から飛び出してくる最初の瞬間から……そう全く、右足で拍子を取って素早く片足ずつで飛び出してくる時から、わたしは好きになっているのである。