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Japanische Klassiker mit Furigana

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おんがくどけい

性に眼覚める頃

室生 犀星

Lesen Sie 性に眼覚める頃 (おんがくどけい) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.495 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

わたしは寝床に這入ってから二時間ぐらい睡れないのであるが、其二時間というものはわたしは間断なく空間をゆききする、気の遠くなるような、空中移乗の瞬間を想像しているうち、ふしぎな睡眠にさそわれるのであった。ときにはどうかすると私自身すら手を辷らし、鉄棒からハッと思う間もなく身体を墜落してしまうのだった。そういうとき誰でもよく夢にみるように、何とも言われない浮々しいそれでいて昇降機で下降するときのような、陰気な冷たいズーンとした惹き呼吸を窒められるようで、厭な居ぐるしい気がして、睡りから醒めたりした。

それゆえ、わたしは彼の雑鬧の公園で、さまざまな色彩を混ぜくり返した小屋がけの中で、しかも代赭色になった塔のわきに、雪の日の曇天のような天幕張りの、ツマんで吊したような白っぽい変に淋しい屋根をみるときに、いつも木戸口にがやがや立ち騒ぐ露西亜人の窪んだ眼窩や、唐黍色の髭や日に焼けた色をみるとき、みんな露西亜を逃げ出してきた人々であることに気が付き、そして一様にだらりとした物憂い風俗をしているのを、よく心に沁みて眺めることができた。なかには単にギタアとマンドリンを鳴らせるばかりに、親子五人づれで興味もなく出てくるのなどあった。