Japanische Klassiker mit Furigana
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おんがくどけい
性に眼覚める頃
室生 犀星
Lesen Sie 性に眼覚める頃 (おんがくどけい) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.495 Zeichen · 22 Bildschirme
駱駝と同じい背だけに、ひわ色のすじの硬いまぐさが積まれ、それとすれずれに悲しげな駱駝の背中が二タ峰をつくり立っていた。わたしは無心でいつも秣をたべている老齢者めいた駱駝が、同じ口つきで、ほんの少しずつの、味いのすくないとも思われる乾草を拾い拾いして食うているのを、かなりぼんやりした焦点のない心もちで眺めていた。粟ばかり食べている小鳥のように、まぐさばかり食べている駱駝もさびしかろうと思えた。なぜかと言えば、そのうしろに積まれた乾草の山を若し時々駱駝がふりかえり見て、そしてもし考え込んだとしたら耐ないだろうとも思えた。あまりにまざまざと自分の食物を明日の分までを眺めるということは、それに何らかの考えが纒いつくとしたら寂しいだろうと思えたからである。
それにも一つ、其処の天幕の白い山のしたに、この駱駝がいたから、なおわたしの心をひいたのである。――わたしが佇っている間に、れいの露西亜人のギタアを弾く男の子供が、汗をながして自転車に乗ることを稽古していた。外国の子供らしい白い額に清浄なとも思われるくらいの汗の玉が、美しくきらめいていた。わたしは又布地の厚い天幕をくぐって場内へはいったときに、れいの緋羅紗の服でかっきりからだを固めた騎馬の女が、くるくる、火の輪をめぐらし、鞭の音が花火のように輝き音がしていた。