Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おんりょうしゃくよう

怨霊借用

泉 鏡花

Lesen Sie 怨霊借用 (おんりょうしゃくよう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.803 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

……「何だ、あの謙斎か、按摩め。こくめいで律儀らしい癖に法螺を吹いたな。」そこには松ばかり、地蔵ばかり、水ばかり、何の影も見えなかった。空の星も晃々として、二人の顔も冴々と、古橋を渡りかけて、何心なく、薬研の底のような、この横流の細滝に続く谷川の方を見ると、岸から映るのではなく、川瀬に提灯が一つ映った。

土地を知った二人が、ふとこれに心を取られて、松の方へ小戻りして、向合った崖縁に立って、谿河を深く透かすと、――ここは、いまの新石橋が架らない以前に、対岸から山伝いの近道するのに、樹の根、巌角を絶壁に刻んだ径があって、底へ下りると、激流の巌から巌へ、中洲の大巌で一度中絶えがして、板ばかりの橋が飛々に、一煽り飜って落つる白波のすぐ下流は、たちまち、白昼も暗闇を包んだ釜ヶ淵なのである。

そのほとんど狼の食い散した白骨のごとき仮橋の上に、陰気な暗い提灯の一つ灯に、ぼやりぼやりと小按摩が蠢めいた。

思いがけない事ではない。二人が顔を見合せながら、目を放さず、立つうちに、提灯はこちらに動いて、しばらくして一度、ふわりと消えた。それは、巌の根にかくれたので、やがて、縁日ものの竜燈のごとく、雑樹の梢へかかった。