Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あやしのもの
怪しの者
国枝 史郎
Lesen Sie 怪しの者 (あやしのもの) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.259 Zeichen · 25 Bildschirme
(あれへ眼をつけるあの野郎こそ怪しい)
と、私といたしましては、職人風の男へかえって不審を打ったのでございます。
(只者じゃアない、うろんな奴だ)
私は考えに沈みながら、広い耕地を見やりました。野菜の名産地の尾張城下の郊外です、畑という畑には季節の野菜が、濃い緑、淡い緑、黄がかった緑などの氈を敷いておりましたっけ。人家などどこにも見えず、百姓家さえ近所にはありませんでした。いやたった一軒だけ、数町はなれた巽の方角に、お屋敷が立っておりましたっけ。それも因縁づきのお屋敷が。……尾張様の先々代継友卿が、お家督の絶えた徳川宗家を継いで、八代の将軍様におなりなさろうとしたところ、紀伊様によって邪魔をされて、その希望が水の泡と消え、紀伊様が代わって将軍家になられた。当代の吉宗卿で。……その憂欝からお心が荒み、継友様には再三家臣をお手討ちなされましたが、その中に、平塚刑部様という、御用人があり、生前に建てた庄内川近くの別墅へ、ひどく執着を持ち、お手討ちになってからも、その別墅へ夜な夜な姿を現わされる。――という因縁づきのお屋敷なので。
(流れ屑が自然に沈む淵があったり、化け物屋敷があったりして、この界隈は物騒だよ)と、私は呟いたことでした。