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Japanische Klassiker mit Furigana

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あやしのやかた

怪しの館 短編

国枝 史郎

Lesen Sie 怪しの館 短編 (あやしのやかた) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.915 Zeichen · 165 Bildschirme

Aozora Bunko

炉を囲んでいるのは五人の湯治客で、茶を飲み飲みさっきから話しているのであった。

「こんな気の毒な男があるのですよ」

と云ったのは、その中の、絹商人だという三十八、九の、顔に薄菊石のある男であった。

「お侍さんですがね、若い頃に、あるお屋敷へ、若党として住み込んだそうで。ところがそこに、若い綺麗なお嬢様がおありなされたが、同藩のお奉行様のご子息と婚約が出来、いよいよ行かれることになったそうで。婚礼の晴着姿で駕籠に乗られた時の美しさにはその若党も恍惚としたそうです。ところがどうでしょう、向こうのお屋敷で、今頃は高砂をうたっておられるだろうと思われる時刻に、そのお嬢様が一人で帰って来られ、若党へ、これからすぐ妾と一緒に行っておくれとおっしゃったそうで。どこへと若党が驚いて訊くと、いいから妾と一緒においでと云うのだそうです。そこで若党は夢中のありさまで従いて行ったところ、お嬢様は途中で駕籠をやとい、山越しをして某という湯治場へ行かれ、そこで一夜をその若党と明かされたそうですが、もちろん二人の仲には何事も……」

「へえ、そいつは感心ですねえ。……それにしてもどうして婚礼の席から?」