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Japanische Klassiker mit Furigana

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あやしのやかた

怪しの館 短編

国枝 史郎

Lesen Sie 怪しの館 短編 (あやしのやかた) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.915 Zeichen · 165 Bildschirme

Aozora Bunko

「チェ」

と男は舌打ちをした。

「取巻きゃアがったな」

「何よ?」

とお蘭は聞き咎めた。

「取巻いたって?」

「猛々しいケダモノを取巻いたというのさ」

「猪? ……だって、季節じゃアないわ」

「猪よりもっと恐ろしいケダモノだ」

「何んだろう?」

「邪悪――そうだ、女をとりわけ憎んだっけ。……強盗、放火、殺人、ありとあらゆる悪業を働いた野郎だ」

「じゃア『三国峠の権』のような奴ね」

「知ってるのか?」

「三国峠の権の悪漢だってこと、誰だって知ってるわ。でも、その権、ご領主様に捕えられたじゃアないの」

「うん、沼田のお城下で、土岐様の手に捕えられたよ」

「お牢屋へ入れられたっていうじゃないの」

「その牢を破ったんだ」

「まア。いつ?」

「昨夜」

「まア」

「そいつがこの土地へ逃げ込んだらしい」

「どうして解るの?」

「捕り手がこの家を取巻いたからさ」

「じゃアこの家の中に?」

「うん。……恐いか!」

「恐いわ」

「だから俺はさっき恐かアないかと云ったんだ! 俺が権だ!」

ヌーッと男は、湯から、巨大な柱でも抜き上げたように立ち上がった。

「フーッ」

とお蘭は湯気を吹いた。

「あたし思いあたったわ、あんたきっと役者ね」