Japanische Klassiker mit Furigana
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 怪しの館 短編 (あやしのやかた) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.915 Zeichen · 165 Bildschirme
……礼云うぜ」
烈しい呼笛の音がこの温泉宿の表と裏とから聞こえ、遙かに離れている主屋の方から、大勢の者の詈しり声や悲鳴や、雨戸や障子の仆れる音が聞こえて来た。
「捕手どもとうとう猟立てに来やがったな! ようし!」
こう云った時にはもう男は湯槽から躍り上がっていた。
「おいお蘭ちゃん、済まないがお前の着物貰って行くぜ、……着物どころかお前の体も貰うつもりだったが、裸身で――そうよ、心も体も綺麗な裸身でぶつかって来られたので、俺らにゃア手が出せなかった。……お前のためにも幸福だったろうが、俺らにも幸福だった。将来は俺らは女だけは。……それもお前のおかげで女の観方変わったからよ。世間にゃお蘭ちゃんのような女もあると思やアなア。……それにしても、俺らに最初にぶつかって来た女が、お前のような女だったら、俺らこんな身の上にゃアならなかったんだが……」
頬冠りを取り、手拭いで体を拭き拭き、
「それにしても進一さんて人は幸福だなア、お蘭ちゃんのような可愛らしい人を嫁さんにするなんて。……おいお蘭ちゃん、俺らお前さんに餞別するぜ。どうかまア今のような綺麗な裸体の心で、進一さんに尽くしてくんなと。