Japanische Klassiker mit Furigana
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 怪しの館 短編 (あやしのやかた) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.915 Zeichen · 165 Bildschirme
それだのにどうだお蘭は、泥棒の権を助けようとして夢中になっている。……とすると権は、やっぱり、ほんとうに、お蘭に手をつけなかったんだ!)
「偉えぞ権!」
と、佐五衛門は、嬉しさと、感謝と、神々しい奇蹟にでも遭遇たような心持ちとで、思わず喚き出した。
「悪人じゃアねえとも、権! 悪人どころか、神様みたいな男だ!」
「竹法螺を、お父さん、竹法螺を!」
「吹くか、いいとも、竹法螺吹いて、捕り方の奴らを!」
柱にかけてあった竹法螺を佐五衛門はひっ外した。
「妾が吹く、妾が!」
と、お蘭は、父親から竹法螺をひったくると、蹴放されたままで、月光を射し込ませている表戸の開間から、戸外へ走り出た。
その後を追って佐五衛門も走った。
と、その時、捕り方の叫ぶ声が聞こえて来た。
「方々、ご用心なされ、三国峠の権の手下五人が、この湯宿に、権めを待ち迎えおるということでござるぞ!」
(あッ)
と佐五衛門は、それを聞くと、思わず口の中で叫んだ。そうして思った。
(そうか、これで解った、炉端に集まっていた五人の湯治客、三国峠の権の手下だったんだ。あいつらの話した話は――片耳を切られた武士の話は、権の過去の出来事だったんだ。