Japanische Klassiker mit Furigana
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 怪しの館 短編 (あやしのやかた) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.915 Zeichen · 165 Bildschirme
本年取って三十五歳、自分は侍ではございますが、仕官もいたさず浪人者で、それに性来書籍が好きで、終日終夜紙魚のように、文字ばかりに食いついております次第、隠居ぐらし、隠遁生活、それこそ庭下駄を穿かないこと、二十日間にもわたろうかという、そんな生活をいたしております。……ははあ、あなた様でございましたか、なるほどなるほどご浪人で、ほほうお名前は結城旗二郎殿で、で、お年は? 二十三歳? それはそれは、ちょうどよろしい。二十歳と二十三歳、全く頃加減でございますからな。……ほほうさようで、御家人の御身で、天下の直参、まことに結構、何んの申し分がありましょう。……ははあご家計はご不如意とか? なんのなんのそのようなこと、問題になることではございません。……家計と申せば当家などは、それこそ人の羨むほど、豊かなものではございますが、そのためかえって煩い多く、敵さえあるのでございますよ。……が、まずそれはそれとして、もはや深夜でございますので、なにとぞ別室でお休みあって、明朝ゆるゆるお話をな。……いやはやこれはとんでもない、ご内室の有無も承わらず、おとめしようとは失礼いたしてござる。