Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 怪しの館 短編 (あやしのやかた) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.915 Zeichen · 165 Bildschirme
いかに豊後守が頑固でも二度とは決してケチもつけまい。
「おおこれでこそ立派な出来。名画でござる、名画でござる」などと褒めないものでもない。
「オホン」とそんな時は大いに気取って空の咳でもせいて置いてさて引っ込むのが策の上なるものだ。
それの出来ない融川はいわゆる悲劇の主人公なのでもあろう。
持ち返って手入れせよと、素人の豊後守から指図をされ融川は颯と顔色を変えた。急き立つ心を抑えようともせず、
「ご諚ではござれどさようなこと融川お断わり申し上げます! もはや手前と致しましては加筆の必要認めませぬのみかかえって蛇足と心得まする」
「えい自惚も大抵にせい!」豊後守は嘲笑った。「唐徽宗皇帝さえ苦心して描いた牡丹の図を、名もない田舎の百姓によって季節外れと嘲られたため描き改めたと申すではないか。役目をもって申し付ける。持ち返って手入れ致せ!」
老中の役目を真っ向にかざし豊後守はキメ付けた。しかし頑なの芸術家はこうなってさえ折れようとはせず、蒼白の顔色に痙攣する唇、畳へ突いた手の爪でガリガリ畳目を掻きながら、
「融川断じてお断わり。……融川断じてお断わり。……」
「老中の命にそむく気か!」