Japanische Klassiker mit Furigana
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 怪しの館 短編 (あやしのやかた) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.915 Zeichen · 165 Bildschirme
「わたしが難波屋おきたといって、浅草の境内におりました頃、あるお侍さんに誘われて、道行きをしたことがございました。するとわたしたちの後をつけて、それ以前にわたくしと縁のありました、若い新発意が追って参りました。そこでわたしはお侍さんに勧めて、新発意を殺させようといたしました。ところがどうでしょうその新発意は、街道に立って合掌し、『わたしは快く死にまする。どうぞお斬りくださいまし』と、こう申したではありませんか。それはまアどうでもよいとして、そう云いました時の新発意の姿が、浅草寺にある仏様の、ご一体そっくりに見えましたので、わたくしはお侍さんの袖を引いて、いそいで逃げてしまいました。ところが貝塚三十郎という、そのお侍さんの眼には新発意の姿が――俗名は弥兵衛、法名は源空――その人の姿がこれも仏様の、不動明王に見えましたそうで、『わしの過去の罪業を不動様が責めるわ責めるわ』と云って、間もなく狂死いたしました。そこでわたしは仏門に入り」……と。
――けだしあの時源空が、人間無差別の悟りに徹し、死を覚悟した尊い態度がおきたや三十郎の心を打って、死をまぬかれたものらしい。