Japanische Klassiker mit Furigana
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あやしのやかた
怪しの館 短編
国枝 史郎
Lesen Sie 怪しの館 短編 (あやしのやかた) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 81.915 Zeichen · 165 Bildschirme
そこでそいつへ付け込んだのだ。そうしてああいう条件を、俺の眼前へ出したのだ。……そこで、俺はハッキリという、お前は俺が良心のために、――俺の持っている良心のために――もがき苦しむのを見ようとして、ああいう条件を出したのだと! そうしてそれは成功した。で俺は苦しんだよ」
突然ここで武士の声は、悲しそうな呻くような調子となった。
「良心のない者は幸福だ。それは何物にもとらえられないから」
ここで一層武士の声は、悲しそうな調子を帯びて来た。
「ところが俺は持っていた。だから締め木にかけられたのだ! お前だお前だ、掛けたものは!」
武士の姿は解らない。部屋に燈火がないからである。
闇黒の中で誰にともなく、呼びかけ話しかけているのである。
独立をした建物である。
建物の周囲は庭園である。
樹木がすくすくと繁っている。
だが月光がさしている。
その月光に照らされて、その建物がぼんやりと見える。一所瓦屋根が水のように光り、一所白壁が水のように光り、その外は木蔭にぼかされている。
その中でしゃべっているのである。
広大な母屋が一方にある。そこから廻廊が渡されてある。