Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かいとうおう

怪塔王

海野 十三

Lesen Sie 怪塔王 (かいとうおう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.635 Zeichen · 337 Bildschirme

Aozora Bunko

「あっ、しまった」

一声、帆村が叫びました。

彼は、濡れた岩根を、あっという間に足をふみすべらし、ずるずるどすんと、博士の立っている足もとまで、すべりおちました。

2

どうも腑におちないのは、大利根博士のそぶりです。

いまも、帆村が足をふみすべらせ、あっという間に博士の足下まで岩根をすべりおちたから、博士もはっと気をのまれて、それっきりになりましたが、もしもあのとき、帆村が岩根をすべりおちないで、断崖につかまってぐずぐずしていたら、博士は次にどんな怪しいふるまいをしたかわかったものではありません。そういえば、あのとき博士の右手は、すでに腰のあたりへのび、なにかピストルでもさぐろうとしたらしいのです。

ずるずると博士の足下にすべりおちた帆村探偵の幸運を、彼のために祝ってやらねばなりません。そうです、全く油断のならない大利根博士と名乗る人物です。あの利口な帆村探偵も、まだそれと気がついていないのでしょうか。あたりには、味方の姿もない恐しい洞穴の中です。一度は危難をまぬかれた帆村のうえに、これからどんな禍がふって来ることでしょうか。それを思うと気が気ではなくなります。