Japanische Klassiker mit Furigana
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かいとうおう
怪塔王
海野 十三
Lesen Sie 怪塔王 (かいとうおう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 167.635 Zeichen · 337 Bildschirme
「あら、鍵ね」
鍵にはちがいないが、普通の鍵の十倍ぐらい大きいようでした。色はまっくろで、鍵の切りこんだ牙みたいなところが、まるで西洋のお城の塔のような形をしています。その上怪しいのは、その鍵を握るところについている彫りものです。それはよく見ると猿の頭の形になっていました。その彫刻の猿は、大きな口をあいて、上目で空の方でも眺めているような恰好をしています。
一彦は、その鍵がたいへん気に入ったと見えまして、いつまでも砂地でその鍵をもてあそんでいました。
ところがそこへ、ばたばたと駈けてきたものがあります。みると外ならぬ例の汐ふきのような顔をした老人でした。
老人は、あたりをきょろきょろ見まわしながら、一彦とミチ子の前まできました。
「お子供衆、このへんに猿の鍵がおちていやしなかったかな」
と、ふくみ声でたずねました。
「おじいさん、これですか」
と、一彦が砂の中に埋めてあった鍵を出してみせますと、
「おお、これじゃこれじゃ」
と、一彦の手からひったくるように鍵をとると、お礼もいわずに元きた道へ走り去りました。
「兄さん。あのおじいさん、とても変なひとね。ありがとうともいわなかったわ」