Japanische Klassiker mit Furigana
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かいきじんぞうとう
怪奇人造島
寺島 柾史
Lesen Sie 怪奇人造島 (かいきじんぞうとう) von 寺島 柾史 (てらしままさし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 43.159 Zeichen · 87 Bildschirme
素人だけで、こんな汽船を動かせたら、それこそ奇蹟だろう。が、運転室におさまってみると、急に緊張し、さすがに責任を痛感した。
「よしッ! 死んでも、横浜まで往ってみせるぞ」
僕は、ハンドルを握った。コンパスや海図と睨めっこして待っていると、やがて、機関室へ降りて往った陳君が、出帆を僕に促すために、不意に勇ましく汽笛を鳴らした。
ボー。ボー。ボー……。
余韻は長く、北洋の空に響いたが、それは、白人の密猟者に挑戦する、進軍ラッパのようだった。
果して、汽笛の音を聞きつけると、彼方の入江、此方の島影から、端艇が姿を現わし、本船目指して漕ぎ寄せてくる。
「おーい」「おーい」
と、船長はじめ、乾児たちは、声のかぎり絶叫し、死物狂いにオールを漕いでくる。
「ざまア見ろ、みんな無人の孤島で餓死してしまえ」
僕は、愉快になって、ハンドルを力いっぱい回した。素人運転士の僕だが、白人を克服せんとする意気で、柔腕にもかかわらず、千五百噸の巨船が自由自在に動き、舵機も、スクリウも、僕の命ずるがままになってくれる。同じ素人の陳君も、旨くやってくれているとみえて、機関の音も軽快に響いてくる。