Japanische Klassiker mit Furigana
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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.233 Zeichen · 223 Bildschirme
脳波操縦士
森源の温室
奥伊豆――と呼ばれているこのあたりは、東京からいって、地理的にはほんの僅かな距離にあるのに、まるで別天地といってもよいほど、南国のような、澄み切った紺碧の空と、そして暖かい光線に充ち満ちていた。
こんもりと円やかに波うっている豊かな土地は、何かしらこの私にさえ希望を持たせてくれるような気がしてならない。
私は眼を上げて、生々しい空気を吸いこんだ。この、塵一つ浮いていない大気の中で、思う存分に荒々しく呼吸をし、手を振りまわして見たいような気がした。
病後を、この奥伊豆に養いに来た私は、体温表の熱も、どうやらサインカーヴに落着いて来たし、それに何よりも『希望』というものを持つようになって来たことが、偉大な収穫であった。
土埃りの、どんよりと濁った層を通してのみ太陽を見、そして都会特有のねっとりとした羊羹色の夜空を悪んでいた私には、ここに移って来ると共に、南国の空とはこんなにも蒼いものであるか、と半ばあきれてしまった位であり、其処に飛ぶ、純潔な綿雲に、健康な幻想を覚えるからであった。
だが、そうして病気の方がよくなって来るにつれて、今度は、思いがけなかった、激しい無聊に襲われて来た。