Japanische Klassiker mit Furigana
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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.233 Zeichen · 223 Bildschirme
彼女は、猶もその無意味な砂いたずらを二三度くり返したようであったが、それにも倦たのか、顔にかかった砂を払おうともせず、ぐったりと「干物」のようにのびていた。尤も、干物にしては、余りに艶やかに美しかったけれど――。
恰度鷺太郎が、その横まで通りかかって行った時だ。テントの中から、妹らしい少女が、熱い砂の上を、螽のように跳ねながらやって来て、
『お姉さま――どお、まだ寒いの?』
『…………』
『ねえ、あんまり急に照らされちゃ毒よ――』
『…………』
それでも、彼女は返事をしなかった。
『ええ、お姉さまったら……』
そういって、抱き起そうとした時だ。
『アッ!』
と一声、のけぞるような、驚ろきの声を上げると、
『芳っちゃん芳っちゃん、来てよ、へんだわ、へんだわお姉さまが――』
と、テントに残っていたお友達に叫んだ。
鷺太郎は、その突調子もない呼声に、思わず来過ぎたその少女の方を振かえって見ると、
『おやっ……』
彼も低く呟いた。
つい、先っきまで、あんなに血色のいい、明るかった美少女の顔が、いつの間にか、その顔を埋めた砂のように、鈍く蒼ざめているのだ、その上、眼は半眼にされて、白眼が不気味に光り、頬の色はすき透ったように、血の気がなかった。