Japanische Klassiker mit Furigana
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あしのうら
怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像
蘭 郁二郎
Lesen Sie 怪奇探偵小説名作選7 蘭郁二郎集 魔像 (あしのうら) von 蘭 郁二郎 (らんいくじろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.233 Zeichen · 223 Bildschirme
――彼女(翌日の新聞で東京の実業家大井氏の長女瑠美子であることを知った)は、あの浜に寝そべりながら、二三度両手で邪慳に砂を掻廻していた、――とすると、それは砂いたずらではなくて、既に胸に匕首を受けた苦しみから、夢中でいていたのかも知れない……。
彼は、そう思いあたると、あの断末魔であろう両手の不気味な運動が、生々しく瞼に甦えり、ゾッとしたものを感じた。
(一体、なぜあんな朗らかな美少女が、殺されなければならないのだ――)
それは「他人」の彼に、とても想像も出来なかったことだけれど、それにしても、あの群衆の目前で、いとも易々と、一つの美しき魂を奪去った「犯人」の手ぎわには、嫉妬に似た憤ろしさを覚えるのであった。
三
海岸開きの日が済んで、十日ほどもたったであろうか。恰度その頃は、学校も休みとなるし、時間的にも東京に近いこのK――町の賑わいは、正に絶頂に達するのである。
夏の夕暮が、ゆっくりと忍び寄って来ると、海面から立騰る水蒸気が、乳色の靄となって、色とりどりに燈のつけられた海浜のサンマー・ハウスをうるませ、南国のような情熱――、若々しい情熱が、爽快な海風に乗って、鷺太郎の胸をさえ、ゆすぶるのであった。