Japanische Klassiker mit Furigana
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かいいくろひめおろし
怪異黒姫おろし
江見 水蔭
Lesen Sie 怪異黒姫おろし (かいいくろひめおろし) von 江見 水蔭 (えみすいいん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.963 Zeichen · 26 Bildschirme
「八十五箇の中に漸く一枚見出された。それと前に老人より授けられたる切図とを合せて見たが、残念ながら中が一枚抜けていて、どうしても繋がれずにいたところ、今日おぬしが武道者を殺して取ったる中から、又一枚を見出した。きゃつめ、二重底の秘事は知る由もない。諸国遍歴中に偶然手に入れたものであろうが」
「すりゃ、今日の印籠から」
「しかも、前の二枚の中に入れて見れば初めて合しる三枚続き」
「おう!」
「僅かに黒姫山麓のホンの一部に過ぎぬなれど、一箱十二貫目入りの分三箇だけの隠し場所が、今日漸く分ったのじゃ」
「三十六貫目の黄金! 小判に直せば、大層な値!」
「それは皆おぬしに遣る、未だその上におぬし引つぎ、印籠集めて他の場所のも探せ。その代りには拙老、頼みがある。おぬしを見込んで申すのじゃ」
「何んなりとも承りましょう、妙高山の硫黄の沸える中へでも、地震の滝壺の渦巻く底へでも、飛込めとならきっと飛び込んでみせまする」
「さらば語ろう」
五
洞斎老人は大阪落城の無念さに、徳川家を呪う者の中で、最も執念深い者の一人であった。
甲州老人のは武田家再興の夢であったが、洞斎老人のは、敢て豊臣家再興は望まなかった。